2019年11月に韓国で放送された「椿の花咲く頃」の視聴感想です。
「椿の花咲く頃」は韓国で最も信頼がおける女優の一人であるコン・ヒョジンと、除隊後の復帰作であるカン・ハヌルが競演した話題作。
単なるラブコメでもファミリードラマでもなく、ドンベク(コン・ヒョジン)とヨンシク(カン・ハヌル)の二人の恋を主軸に、名シーン、名台詞、名脇役、涙と笑いと感動、更にはサスペンス要素も盛り込んだ、何とも贅沢なドラマでした。
KBS演技大賞で12部門(最優秀主演男優&女優含む)を受賞したのも納得です。
これが今年1本目で幸先が良い2020韓国ドラマ視聴のスタートです!
「椿の花咲く頃」は韓国でも大ヒットし、初回視聴率が6%台であったにも関わらず最終回は23.8%という数字が、全てを物語っていますね!
↑素晴らしい脚本に「まさに水を得た魚」状態の演技派二人。
これでもか!と泣かせてくれました。
椿の花咲く頃 キャスト・あらすじ
あらすじ
田舎町オンサンに突如現れた美しきシングルマザーのトンベク(コン・ヒョジン)は、町の人たちの好奇の目に晒されながらも、食堂を開いて一人で切り盛りしながら息子のピルグを育てている。
この町で生まれ育った巡査のヨンシク(カン・ハヌル)は方言丸出しの田舎者、常に猪突猛進型の性格のせいでトラブルも多いが、情に厚く正義感の強い愛すべきキャラクター。
そんなヨンシクがトンベクに一目ぼれ!トンベクに新たな恋の訪れるのか?
またその一方で、一見平和なこの町では実は連続殺人鬼「ジョーカー」が暗躍し、人々を恐怖に陥れていた。そしてトンベクに忍び寄るジョーカーの陰。ヨンシクは愛する人を守ろうと必死にジョーカーの正体を探る。
キャスト
コン・ヒョジン(トンベク役)「大丈夫、愛だ」
カン・ハヌル(ヨンシク役)「ミセン」「麗」
キム・ジソク(カン・ジョンリョル役)
オ・ジョンセ(ノ・ギュテ役)
ヨム・ヘラン(ホン・ジャヨン役)
ソン・ダンビ(ヒャンミ役)
コ・ドゥシム(ドクスン役・ヨンシクの母)
イ・ジョンウン(ジョンスク役・トンベクの母)
キム・ソニョン
キム・ガンフン(ピルグ)スタッフ
脚本家イム・サンチュン:「サムマイウェイ」
↑シングルマザーのトンベクと息子のピルグ。
ピルグ役のキム・ガンフンに大注目!
他のどんなドラマにも似ていない脚本
何よりもまず脚本が素晴らしい。
一言で言うと「ラブコメディとヒューマンドラマとサスペンス」が同居したドラマで、しかもそのバランスが絶妙。
大人な二人の恋愛は十分にそれだけでドラマが成り立つくらい胸キュン満載だし、家族愛・隣人愛・親子愛とヒューマンな部分も一切手抜きなし。
更にサスペンス部分が実は一番手が込んでいて、謎が謎が呼ぶ展開は、初回から各話に張り巡らされた伏線が最終回までに綺麗に回収され、お見事の一言に尽きます。
そして何よりも新しいのです。
オリジナリティこそが一番の魅力!
今まで観たどんなドラマとも違う!
※以下、少々ネタバレ気味感想となりますので、ご注意下さい!
↑ツンデレ男ばかりの最近の韓流ドラマには珍しく、カン・ハヌル演じるヨンシクは、一目ぼれで恋に落ちてしまったトンベクに、駆け引き一切なしで真正面から情熱的にアプローチします。
幼い頃母親に捨てられた心の傷を抱え、更に自身もシングルマザーとなり「不幸な女」の烙印を自らに押してしまい、どこか卑屈に生きてきたトンベクですが、このヨンシクからのひたむきな愛を全身に受け、徐々に変わっていきます。
「愛される」ってどんなことよりも力になります。
奇跡なんて信じない。
私の人生に奇跡なんて起こらない。
そう言い続けてきたトンベクですが、愛されるという奇跡が、ドンベクの人生にもやっと訪れたのです。
ドンベクにとってはヨンシクこそが奇跡そのもの。
人は人の奇跡になれるのか。
ドラマの一貫したテーマであったと思います。
ツンデレ封印のカン・ハヌルが最高にセクシー
ツンデレ役はギャップで魅せられるけど、裏表なしの直情型のキャラクターを演じてるのはとても難しいと思います。その難しい役をこれ以上なく魅力的に演じたカン・ハヌルが最高でした!
自分を必要以上によくみせようともせず、ただひたすらに素の姿であり続ける男って、今更ですがすごくかっこいい。
「守ってあげたい」と思っていたか弱く見えたトンベクが、実は内面には芯の強さを持つ女性だと知るにつれ、「愛さずにはいられない!」と彼女への恋心を「愛」へと変化させていくんですよね。
トンベクへ向ける眼差しがどこまでも真っ直ぐで温かく、ひたすら彼女に寄り添いながら、時にはトンベクの悲しみを一緒に受け止め、彼自身もじっと耐える姿も見せてくれます。↓
直情型でありながら、でも決して心までガサツな男ではないヨンシク。
トンベクに毎日花を贈るロマンチストな一面も。
↑どの表情をとってもカン・ハヌルの自然体でも情熱のこもった演技が光ります。
↑連続殺人犯の魔の手がトンベクに忍び寄り、絶対に彼女を守り抜くという男らしいヨンシクが最高。
「ミセン」での堅物のエリート新入社員役や、「麗」での麗しい王子役が印象的で、何となくカン・ハヌル自身も小奇麗で礼儀正しい好青年という印象でしたが、このヨンシクが実は素の彼に近いのでしょうか?!(そうであってほしい~←願望)
共演したコン・ヒョジンはインタビューでカン・ハヌルの「椿の花咲く頃」の演技を「華やかな演技」と呼んでいました。「自分の演技は素朴だけど、カン・ハヌルの演技は華やかで羨ましい」と。
うん、納得!見る人を引き付ける華やかさがありました。
コンブリー(コン・ヒョジン+ラブリー)健在
さて、散々カン・ハヌルを褒めましたが、このドラマの主役は間違いなくコン・ヒョジン=トンベクでした。女性が主役のドラマです。
コン・ヒョジン+ラブリーでコンブリーという造語があるほど、チャーミングでラブリーな彼女は健在です。(チープシックなファッションが最高でした)
世間の偏見の目にさらされ孤独に凍てついたドンベクの心が、ヨンシクの熱い想いを正面から受け、ぱ~っと溶けていくような解放感を、彼女らしい爽やかな演技でみせてくれました!
↑とにかくよく泣いたトンベク。母はよく泣く生き物です。
ドラマでは常に「親子の愛」、その中でも特に「母と子の愛」が描かれていました。
時には自らを犠牲にしてでも子どもの笑顔を守りたい、どこまでも尊い母の愛。
私自身もまた子を持つ母であり、ちょうど3年前に女手一つで私と弟を育ててくれた母を病気で亡くしたこともあって、泣いても泣いても泣き足りない状態となってしまいました(T_T)
トンベクも彼女を捨てたトンベク母も、そして女で一つ三兄弟を育てたヨンシク母も、家族に恵まれなかったヒャンミも、誰からも認められずに育ったジェシカも、素直に愛を求められなかったジャヨンも。
とにかく登場する女性みんなが、泣き喚きながらも必死で生きている様が丁寧に描写されています。
女性たち皆が、時には手を取り合い、人生の生き辛さを乗り越えていく様が、このドラマのみどころでもあったと思います。
↑実は遠い昔出会っていた二人。
女性たちは団結すると強い。よそ者であったトンベクもいつしかオンサンが故郷に↑
コン・ヒョジンのインタビュー記事より抜粋↓
「私も本当に自分自身を信じます。今までそう生きてきたと思います。私は競争も嫌いですし、これ見よがしに気取って生きるのも気が進みません。ただ自分だけが幸せなら大丈夫という、トンベクと同じ気持ちです。だから今回の作品はもっと心の奥深くに残りそうです」
人と比べてもしょうがない、自分の事は自分で幸せにするのだ。
世間が何といおうと、自分の幸せを決めるのは結局は自分なのだ、という事をドラマをみて改めて思いました。
脇を固める名優たち
↑ヨンシクの上司、チョン・ペスさん存在感抜群!
↑どんなドラマでもスパイスとなる役の人がいると思うのですが、私はこのドラマではギュテ役のオ・ジョンセsiiが好きだった~
↑いつも大真面目なんだけど何だか笑える警察署の面々。
↑ギュテの妻、ジャヨン。隅から隅までキャラの立った面々と、それぞれにちゃんとストーリーがあるのが素晴らしい。
↑天才子役!!ピルグ役のキム・ガンフン。泣きの演技のみならず、全てが完璧でした。KBS演技大賞でも子役部門?受賞していましたね!
↑ピルグの父親ジョンリョル。トンベクが妊娠している事を知らずに別れてしまうが、その後も実はずっとトンベクを思い続けていた。プロ野球選手役がはまっていたキム・ジソクsii。チュノ、個人の趣向みたなー。いつの間にかこんな難役もこなす演技派に!
↑ジョンリョルの現在の妻。自分勝手なワガママ妻だが、承認欲求が強すぎる彼女にも、また人には知られたくない過去が。
↑コ・ドゥシムさん、圧倒的名演技。
↑その飄々とした存在感がドラマ後半をぐっと引き締めました。トンベク母役のイ・ジョンウンさん。
↑町のお母さん軍団。間違いなく陰の主役でしたww
↑そしてそして、ソン・ダンビ(ヒャンミ役)ちゃん。色々あってもどうしても憎めないヒャンミでした。
まとめ感想
サスペンス部分はネタバレしないようにあまり触れていません。どうぞドラマでみてハラハラドキドキして下さい!
優しいOSTの効果も相まって、見ている間ずっと温かい気持ちになれた素晴らしいドラマでした。出演した俳優陣の名演技ももちろんですが、色んな要素を詰め込んだにも関わらず、最後までテーマがぶれずに作り切った制作陣に拍手です。
60分×20話は決して短くはないはずなのですが、あっという間でした。
最終話は、
悲しい結末であったけれど、連続殺人事件の真犯人が判明。
移植により助かったトンベク母。
ほんとにメジャーリーガーとなったピルグ。
共に年老いていくトンベクとヨンシク。
二人の間に生まれたであろう子の名前はヒャンミの本名であった「ファン・ゴウン」。
奇跡はきっと起こる。
そんなメッセージを最後まで感じることが出来る、最高のラストでした。
私も、これを読んでいるあなたも、誰かの奇跡になれますように!